
1️⃣筋膜リリースは「目的・概念」である
- 「筋膜リリース(myofascial release)」は、筋膜の癒着・緊張を解放し、可動性や血流・神経の働きを改善することを目的とした概念です。
- そのため、筋膜リリース自体が手技名ではなく、目的・治療の方向性と考えるのが正しいです。
2️⃣ 手技療法としての具体的アプローチは複数存在
筋膜リリースを実現する手技は1種類に決まっているわけではなく、臨床では様々なテクニックが使われます。
代表的な手技
・軟部組織モビライゼーション
手技:持続圧迫法、ストレッチ、筋膜グライディング
特徴:ゆっくり押す、伸ばす、滑らせる、痛みが少ない
・軟部組織マニュピレーション
手技:深部圧迫、筋膜剥離、スラストを伴う層間操作
特徴:癒着の剥離や硬結の解放に重点、刺激強め
・徒手療法のフレームワークでの方法
(全身のつながりを整える筋膜調整)
手技:stecco法、myofascial unwinding、筋膜リリースストレッチ
特徴:全身の連鎖を考えた筋膜の調整、
方向や圧の組み合わせが多数
・筋膜リリース注射
手技:ハイドロリリース
特徴:超音波ガイドを用いる、筋膜や筋膜下層に針を注入し、
生理食塩水や局所麻酔薬を投与
など方法は他にも存在します。
3️⃣ ポイント
- 筋膜リリースは「これをやれば筋膜リリース」と決まった単一の手技はない
- 重要なのは筋膜の癒着や制限を解放することを目的に、手技の強度・方法を患者に合わせて選ぶこと
- 臨床では「やさしい持続圧でほぐす」「深部にアプローチして癒着を解放する」など、状況に応じてモビライゼーション系・マニュピュレーション系のテクニックを使い分けます
💡 まとめ
- 筋膜リリース=治療の目的・概念
- モビライゼーション/マニュピュレーションなど=目的を実現するための手技カテゴリー
- 臨床で使う具体的手技は複数あり、決まった「これが筋膜リリース」というテクニックは存在しない