IASTM(器具を用いた軟部組織モビライゼーション)と腰痛への効果

IASTMとは?

 

 

  • IASTM(Instrument Assisted Soft Tissue Mobilization)は、専用の器具を用いて筋膜や筋肉、腱などの軟部組織をやさしく刺激し、動きをスムーズに整える方法です。

  • 手では触りにくい深い部分まで効率よくアプローチできるのが特徴です。


腰痛に効果がある理由

 

 

  1. 筋膜や筋肉の癒着を改善

    長時間の同じ姿勢や運動不足により、筋膜が硬くなったり癒着すると、腰に負担がかかり痛みの原因となります。

    → IASTMで癒着をほどき、動きを回復。

  2. 血流・リンパの流れを促進

    滞った血液や老廃物を流しやすくし、組織の回復力を高めます。

  3. 神経の過敏を鎮める

    筋肉や関節周囲の神経が敏感になっていると痛みを強く感じます。

    → IASTMのリズムある刺激が神経を落ち着かせ、痛みを和らげます。

  4. 動きの改善による負担軽減

    動きの制限がなくなると、腰に集中していた負担が分散され、再発予防にもつながります。


IASTMの作用機序(なぜ効くのか?)

  • 機械受容器の刺激

    筋膜内のセンサー(ルフィニ小体・パチニ小体など)を刺激し、筋肉の緊張を調整。

  • 固有感覚の改善

    身体の位置感覚が整うことで、正しい姿勢や動作をしやすくなる。

  • 微小な炎症反応による組織修復

    適度な刺激で血流が増え、修復細胞が集まりやすくなる。

  • 筋膜スライドの改善

    硬くなった筋膜どうしのすべりを回復し、腰部の動きがスムーズに。


なぜステンレスのブレードを使うのか?

 

1. 感覚の違い(触診の精度)

 

 

  • 手の感覚ではわかりにくい「筋膜や筋肉の細かい硬さ・ざらつき」を、ステンレスのブレードは増幅して伝えてくれます。

  • そのため、どこが動きにくいのか、どこに癒着があるのかをより正確に感じ取りやすいのです。

 

 

 

2. 効率的に刺激できる

 

 

  • 手で深部を押そうとすると余計な力が必要で、施術者の負担も大きくなります。

  • ブレードは形状と重さを活かして効率よく組織に刺激を届けられるため、深い部分まで無理なくアプローチできます。

 

 

 

3. 均一でやさしい圧

 

 

  • 手だとどうしても強弱にムラが出ますが、ブレードを使うことで「なめらかで均一な刺激」が与えられます。

  • 結果として、クライアントさんの身体への負担も少なく、安全にケアできます。

 

 

 

4. 衛生的で安心

 

 

 

  • ステンレス製なので清潔に保ちやすく、繰り返し使用しても衛生的です。


手で触るのとブレードで擦る違い

 

  • 手: 広い範囲を感じ取れる、温かみがある → リラックスや表層の調整に適する

  • ブレード: 細かい硬さを見つけやすい、深部まで届く → 動きの制限や癒着の改善に適する

 

 

👉 つまり「手とブレードは役割が違い、両方を組み合わせることでより効果的」です。

まとめ

 

 

  • IASTMは「硬くなった組織をやわらかくし、血流と神経の働きを整える」ことで腰痛を改善。

  • 強い刺激ではなく、心地よい程度の圧で安全に行います。

  • 一時的な痛みの軽減だけでなく、動きの改善や再発予防にもつながります。