【症例:50代男性・右手の痛みと握力低下】
■ 症状の経過
50代の男性が「右手の内側から肘にかけての痛み」と「親指の付け根の力が入らない(握力低下)」を主訴に来院されました。病院での精密検査では「異常なし」「神経損傷もなし」との診断でしたが、日常生活での違和感と痛みは治まらず、当院へご相談いただきました。
■ 施術前の評価
腕や手に着目すると、確かにわずかな硬さはあるものの、痛みの原因となるほどの大きな損傷は見当たりません。しかし、身体全体を評価したところ、右肩の前方に強い圧痛と、しこりのような硬結を発見しました。
■ なぜ「手」ではなく「肩」だったのか?
手や腕の痛みは、必ずしも手そのものに原因があるわけではありません。今回のケースでは、肩の前方で筋肉や筋膜が癒着(組織がくっついて動きが悪くなること)を起こしており、それが神経や筋膜のつながりを通じて、遠く離れた親指や前腕の動きを悪くしたり、痛みとして現れていました。
■ 施術内容と結果
当院では「刺さない鍼」を用い、肩前方の筋膜の癒着を丁寧にリリースしました。クロスファイバーテクニックなどを用い、組織の滑走性を改善させる施術を行った結果、肩の圧痛が消失。それに伴い、あれほど悩まされていた前腕の痛みや親指の違和感、握力の低下も解消されました。
「痛みがある場所」と「原因」は、往々にして別の場所にあります。 検査で異常がないと言われた痛みこそ、身体の連動性を見直すチャンスです。

